坂本慎一
坂本慎一 名言・語録11件
(日本経済思想史)
「言葉について考える際、最も重要な点は、人は基本的に、聞いたり読んだりした言葉を元にしてしか語ることができないという事実である」
「ある人が自由に語っているように見えても、それはそれまで読んだり聞いたりした言葉を応用したものである」
「優れた言葉を多く語る人は、当然のことながら、それまでに優れた多くの言葉を聞いたり読んだりした人物であるといえる」
「松下幸之助本人は、戦前において、どのようにラジオを聞いていたのか。今日記録が残る戦前の発言のうち、ラジオ放送の内容について言及したものは4回ある」
「戦後の昭和30年代、松下はラジオ放送のなかでも宗教番組が特に好きであったと何回か述べている」
「多くの思想は、言葉があって思想たり得るものであって、言葉こそ思想を形づくるものである」
「そして人間にとって、文字よりも声のほうが本来の言葉であるならば、声によって表現された思想こそ本来の思想であり、文字によって表記された思想は、声の思想の補完物としてとらえるべきではないか」
「言い換えれば、声によって表現された思想こそ本来の思想であって、文字によって思想を表現することは、あくまで便宜上のことだと考えられるべきである」
「松下幸之助は、その生涯において自身の思想を『声』で表現し続けた人であった」
「彼が生涯のうちに出版した40余冊の本は、全て口述筆記か代筆によるものであり、彼自身がペンを握って書いたものは一冊もない」
「日本にも近江商人の家訓や石門心学、二宮尊徳の報徳思想など、伝統的に『経済思想』と呼びうるものは存在している」
出典『戦前のラジオ放送と松下幸之助』
【感想・論評・補足】
戦前のラジオ放送は国民に啓蒙、教養を植付けるのに大きな力を持っていたと、日本経済思想史を専門とする坂本は指摘する。そして坂本は最もラジオから学んだ一人が松下幸之助と考えられるのではないかと指摘。松下幸之助の思想はどこからきたのか謎とされてきた。幸之助は長年師事した先生はおらず、大量に読書をした形跡もないからである。坂本はその答えを戦前のラジオ放送に求め、当時ラジオで放送されていた内容と幸之助の発言の類似点を探し出した
経歴(プロフィール)
■坂本慎一(さかもと・しんいち)
日本の研究者。PHP研究所主任研究員。専門は日本経済思想史。1971年、福岡県生まれ。獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科(人間環境学専攻、人間社会論講座、経済システム論)修士課程修了