加治将一
「明治新政府の総合メイキング・プロデューサーはフルベッキで、依頼者は岩倉だ」
「勝海舟の家宝は、南朝の後醍醐天皇の子、護良(もりよし)親王の刀だ。幕長(ばくちょう)戦争講話の折、わざわざ護良親王の南朝刀を持参し、己も南朝だと長州側に示すべく、これみよがしに厳島神社に奉納している」
「土佐藩の坂本龍馬は、南朝刀を家宝に持つ勝海舟の弟子で、横井小楠とも親しかった。この2つの事実を見ても確信犯だ。そして彼がリーダーになった亀山社中。名は、亀山(当時の長崎に、その地名はない)に設立したからではなく、南朝の父、亀山天皇からいただいた名称だ」
「同じく土佐藩の中岡慎太郎。彼が造った陸援隊は50名ほどの十津川郷士で成り立っている。十津川郷士は古(いにしえ)より吉野に住み、後醍醐天皇を守った南朝の守護神だ。すなわち南朝守護神のボスが中岡なのである」
「西郷は南朝の九州武将、菊池家の子孫だ。家紋は抱き菊の葉と菊。西郷の変名は菊池源吾(げんご)、逆から読めば『吾(われ)、源(みなもと)は菊池なり』である」
「もともと天皇家と菊の縁はそれほど濃くない」
「明治になって急に『菊』だらけになり、現代のパスポートの表紙にまで及んでいるが、あれは南朝武将・楠公と西郷の影響だ」
【感想・論評・補足】
孝明天皇の子、睦仁親王と南朝の末裔である少年(大村寅之助)をすり替え、その少年を明治天皇にして即位させた。これが明治維新の真実である、と加治は膨大な資料を検証し次々とその事実を浮き彫りにする。これからも楽しみな作家である
経歴(プロフィール)
▇加治将一(かじ・まさかず)
日本の作家。個人投資家。コイン・コレクター。映画監督。YouTuber。1945年、札幌で生まれる。アメリカでビジネスを手がけ、帰国後に執筆活動に入る