アレン・ダレスの名言・語録2件
(米国CIA長官)
(米国CIA長官)
「第一次世界大戦中に国防省のもとで、アメリカによる最初の真剣な暗号解読が行われた。正式には軍事情報第8課と呼ばれたが、自らをブラック・チェンバーと呼ぶのを好んだ。第一次世界大戦後におけるブラック・チェンバーの卓越した功績の一つは、日本の外交暗号を解読したことである。1921年のワシントン軍縮交渉の際、アメリカはどうしても日本に10対6の海軍比率を合意させたかった。日本側は会議に出席し、10対7の比率を固守する意向であると声明した。ブラック・チェンバーがワシントン・東京間の日本の外交通信を解読した結果、日本側はもし米国がその立場を固守するならば、アメリカ側の希望する比率まで実際譲歩する用意があることが米国政府に明らかになった。そこでわれわれは本件に関し会議を決裂させることなく、われわれの立場を押し通すことができた」
【注釈】ブラック・チェンバーは、1919年から1929年まで活動したアメリカの暗号解読機関
「米国陸海軍は、次にもし戦争が起こる場合には、敵は日本となる可能性を予見して、とくに日本に重点を置いて1920年代終わりごろより、暗号解読に取り組みはじめていた。真珠湾攻撃があった1941年ごろまでに、米国の暗号解読者たちは日本海軍および外務省の重要暗号のほとんどを解読していた。結果としてアメリカは、太平洋作戦で次の日本の作戦の証拠をしばしば事前に入手していた。太平洋における海軍戦の帰趨を決した1942年6月のミッドウェー海戦は、解読した日本側の通信から日本帝国海軍の主要機動部隊がミッドウェーに集結中と分かったので、われわれが行った戦闘であった。敵艦隊の配置、および大きさに関するこの情報は、米国海軍に予期せぬ利益をもたらした。日米開戦後における重要な問題は、アメリカが日本側の暗号を解読するのに成功した事実をいかに隠し通すかであった。ときどきこの事実が漏れたが、日本側は明らかにまったくこれに気がつかなかった」
【出典】
『情報と外交 』孫崎享
【感想・論評・補足】
日本が戦争に負けた大きな要因の一つが、暗号が筒抜けになっていたからだと、ダレスの証言で分かる。いやそれ以前に、ワシントン軍縮交渉の時に既に日本の暗号が解読されていたことが分かる。ミッドウェーでは完全に日本帝国海軍の動きを把握されていたので、これでは勝てるわけがない。日本は当時の暗号システムは極めて高度であったため、解読は不可能と信じ込んでいたのだろう