加護野忠男 名言・語録17件
(神戸大学名誉教授)
「利益とは、企業が取引関係を持っている多くの関係者に対する支払いを行った後に残るもの(剰余)です」
「利益が出ているということは、企業が支払い義務を果たしていることを意味します」
「逆に利益が出ていないということは、支払い義務を果たすのが難しい状態にあることを意味します」
「利益が出ているということは、社会に対して義務をしっかり果たしているということを意味します。従業員にきちんと給料を払い、仕入先にも代金を支払い、借金には金利とともに返済を行っているということを表します」
「利益が出なければ、すべてのステイクホルダー、つまり利害関係者に対する義務が果たせないわけです」
「ちょうど私たち人間をはじめとする動物が生きるために呼吸をしなければならないのと同様、企業という生きものが生きるためには利益を上げることが必要なのです」
「それほど利益というものは、企業にとって大切なものなのです」
「松下流のショップ店方式は、もともとは資生堂のチェーンストアをヒントにしてつくられたものだと言われています」
「他の業界で真似て成功した会社もあります。そのいちばん有名な例が神戸のワールドです。自分たちの商品を専売で売るショップ店を全国に配し、独自のオンリーショップと呼ばれる仕組みをつくり上げました」
「子会社上場は、日本の産業発展のプロセスでも重要な役割を演じてきました。古河電工は、シーメンス社との合併子会社であった富士電機製造を上場させ、富士電機製造はその子会社であった富士通を上場させました」
「これらの上場子会社は独立性を強め、親会社よりも大きく成長していきます。富士通は、ファナックを上場させ、ファナックは独立性を強めていきました」
「同じように、豊田自動織機の子会社であったトヨタ自動車は、親会社をはるかに凌駕する優良企業に成長しました」
「積水化学の子会社であった積水ハウスは、親会社の拘束を離れ、独自に発展していきました」
「富士フイルムは、ダイセル化学工業の子会社でしたが、今やそのことを知る人はごく少数になってしまいました」
「日立製作所も、もともとは久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として発足し、分離独立後、現在のように発展した会社です。独立性の強い兄弟会社もたくさんあります。子会社上場は、日立グループの成長の基本手段でもありました」
「山本善隆氏は、16世紀にイタリアの商人や職人たちが、すべてのことを測って記録するという習慣をつくり出したことが、近代科学の発展の基礎になっていると言っています(『16世紀文化革命』みずず書房)が、数字で物事をとらえるというのは、合理的な思考の出発点です」
「経営学者にとって、事業システムの研究ほど面白いものはない。『こんなことができるか』『こんなに小さなことが、こんなに大きな意味をもつのか』『こんなやり方が成り立つのか』といった発見がつぎつぎに出てくるからである」
【出典一覧】
『競争優位のシステム』(PHP新書)
『松下幸之助に学ぶ経営学』(日経プレミアシリーズ)
【感想・論評・補足】
神戸大学の経営学部は日本最初の経営学部である。そして、日本最初の経営学部の創設者であり、日本で最初に経営学の講義をしたのが平井泰太郎(神戸大学に1949年に日本初の経営学部を設立)である。神戸大学の前身である神戸高等商業学校からは多くの実業家が輩出している。彼らの残した実績が経営学に大きく貢献したといえるだろう。また、加護野は野中郁次郎(一橋大学名誉教授)と親交が深く、共同研究をしている
経歴(プロフィール)
■加護野忠男(かごの・ただお)