李登輝
「生涯をかけて台湾の民主化を大きく進展させることができたのは、私にとって最大の誇りだと思っている」
「日本精神の良さは口先だけではなく実際に行う、真心をもって行うところにある」
「人々の不満によく耳を傾けて政治に生かしていく経験は、台北市長のときに学んだ」
「安倍首相は、交流サイト『フェイスブック』上で台湾の支援に言及し、『大切な日本の友達』と表現した。これには多くの台湾人が感動した」
「哲学、歴史、倫理学、生物学、科学。ほんとうに、ありとあらゆる分野の本を読んだ。高校を卒業するまでに、岩波文庫だけで700冊以上はもっていた」
「西田幾多郎の『善の研究』、和辻哲郎の『風土』、ゲーテの『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』、ドストエフスキーの『白痴』、トルストイの『戦争と平和』など、私の人生観に影響を与えた本は多い」
「後藤新平が台湾で民政長官を務めた以外に東京市長や満鉄総裁を歴任したように、私も台北市長、台湾省主席の時代に都市経営や農村建設を全力でやってきた。また、後藤が築いた基礎をもとに私は新しい台湾を模索し、民主化を促進したから、後藤と無縁ではないと思っている」
「新渡戸稲造と後藤新平。この2人の日本人が『強い信念と信仰心をもちなさい』と教えてくれた。そこで精神的につながっていると私は感じている。2人は台湾近代化の恩人であると同時に、『私の先生』でもある」
「思えば、1988年に初めて『総統』というこの国の最高権力者の座に就いたときから、私は一度として、自分の権力に執着したことなどありませんでした。頭の中にあったのは、ただ『国のため』『国民のため』ということでした」
「日本の経済発展は、台湾にとって偉大なる教師だったことは間違いがない。ことに、台湾が産業化していく初期の段階は、ほとんど日本が戦前・戦中に残していった工場や道路などのインフラ、経営法や技術などの経済資源だけで開始したといっても過言ではない」
「台湾人は『日本精神』という言葉を好んで用いる。これは日本統治時代に台湾人が日本人から学んだ、勇気、誠実、勤勉、奉公、自己犠牲、責任感、清潔といった諸々の美点を指す言葉である。日本人がこの『日本精神』を失わない限り、日本は世界のリーダーとして発展していくことが可能だと私は信じている」
【出典一覧】
『台湾の主張』
『新・台湾の主張』
『李登輝秘録』河崎眞澄(著)
『熱誠憂国 日本人へ伝えたいこと』
『「武士道」解題―ノーブレス・オブリージュとは』
【感想・論評・補足】
李登輝は司馬遼太郎を心友と慕っていたことは知られるが、最も親しい日本の友人に江口克彦氏(PHP研究所社長、参議院議員など歴任)をあげていたことを知っている人は少ないだろう。江口氏が日本と台湾の橋渡しをした功績は大きい
経歴(プロフィール)
■李登輝(り・とうき)
【1923年~2020年】台湾(中華民国)の政治家。第4代中華民国総統。「台湾民主化の父」と評価される。農業経済学者及び宣教師。コーネル大学農業経済学博士。拓殖大学名誉博士。信仰する宗教はプロテスタント・長老派。日本統治時代に使用していた名は岩里政男(いわさと・まさお)