名言・語録・格言

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山崎武也

山崎武也の名言・語録15
コンサルタント。茶道裏千家

 

「茶室という意味の『すきや』という言葉に、『好き家』『空き家』『数寄屋』などの意味をもたせて、それぞれの観点から茶室の特徴を説明しています」 


「私たちの住んでいる家、着ているもの、飲んだり食べたりしているもの、礼儀作法、それに陶磁器、漆器、絵画、文学に至るまで、茶道の影響を受けていないものはありません」


「日本文化について勉強をしようと思ったら、茶道を無視するわけにはいきません。優雅で気品のある邸宅から、みすぼらしいあばら屋の中まで、茶道が浸透していっているのです」


「天心は『茶室』を人生という砂漠の中の『オアシス』にたとえています。茶室は芸術鑑賞のための場であり、すべてに調和が保たれ、しかも簡潔にして自然なリズムの支配するところであるとしています」


「茶室は簡潔を旨とする一つの芸術作品であり、禅の教えを具現したものでもあります。茶室へ通じる庭である露地(ろじ)は、雑然とした現実の世界から断絶を図るようにお膳立てがされています。純粋な美の世界に入るために、身も心も準備ができるような雰囲気を醸し出すのです」


「中国ではすでに8世紀に、お茶のことが詩にうたわれています。高尚な遊びの世界の中に、題材の一つとして入っていったのです。さらに日本の場合は15世紀になってから、お茶を中心にして新たな美学の世界が形成されてきました。必ず美が存在するというゆるぎない信念のもとに、どこまでも美の世界を追求していこうとする茶道の誕生です」


「武士道は花々しく散っていく『死の術』ですが、茶道は人生いかに生くべきかを包括的に示した『生の術』であるというのです。死があるからこそ生があり、生があるからこそ死があります。生と死を切り離して考えることはできません。そのように考えていくと、武士道と茶道は表裏一体をなすものと考えてもよいでしょう」


「西洋人は最初、日本の武士道のことを話題にしましたが、茶道にはあまり注目しませんでした。しかし、武士道は武士や兵士をして喜び勇んで自己犠牲に走らせる『死の術』です。一方、茶道は毎日を生きる『生の術』について多くを教えてくれるものなのです」


「禅とお茶が密接に関係していることは、よく知られています。茶道が禅の儀式から発展してきたものである点については、すでに述べました」


「宗の時代の抹茶が禅の教えと共に日本へ伝来し、そこから日本の茶道が生まれたのです。抹茶が本家の中国で見られないのは、外敵による宋朝文化の徹底的な破壊の中で、抹茶も葬り去られてしまったからです」


「芸術と同じように、お茶にも歴史的な時代区分があり方式によりいくつかの派に分かれています。歴史的には、大まかにいうと三つの大きな時代に分けることができます。『団茶(だんちゃ)』と『抹茶(まっちゃ)』と『葉茶(はちゃ)』の三つの時代です。私たち現代人は、この最後の時代に属しています」


「石と煉瓦の建築という伝統の中で育ったヨーロッパの普通の建築家の目から見れば、木や竹を使った日本の建築様式は、建築というものとは程遠いと思うかもしれません」


「16世紀以降、茶道の考え方は日本の建築にかなり大きな影響を与えてきました。そこで、今日の普通の日本家屋の内部は、室内装飾の観点から見ると、極端に単純かつ質素です」


「立派な茶室は普通の大邸宅よりも金がかかります。材料の選択や大工の腕に関しても、この上もない配慮と正確性が要求されるからです。実際、茶室の建築に携わる大工は、職人の中でもはっきりと区別され、格式の高いクラスに属しています。その仕事ぶりは、漆細工の職人にも劣らないほどの、きめの細かさがあります」


「偉大な茶人は、皆、禅を修行していて、禅の精神を生活の実際の場に導入しようと努力していました。そこで、茶室もそのほかの茶道に必要なものと同じように、禅の教えの多くを取り入れています」


【出典一覧】
『茶と人生 岡倉天心茶の本」に学ぶ』


【感想・論評・補足】
山崎氏の本を読むと改めて茶の湯は日本の伝統文化であることが分かる。


経歴(プロフィール)
■山崎武也(やまさき・たけや)
ビジネスコンサルタントとして国際関連業務に携わるかたわら、茶道裏千家としても活躍。1935年、広島県生まれ。東京大学法学部卒業