堀場雅夫
「自分の本当の限界に挑戦しない人間が、何と多いことか。日本企業が底力を発揮できない一番の要因は、そこにあると僕は思います」
「では、どうすれば社員の力を最大化できるのでしょうか。考えた末に到達したのが、『おもしろおかしく』という経営手法でした」
「堀場製作所の社是は『Joy&Fun』やと言うと、『それは無茶苦茶エキサイティングですね!』と外国人社員は好奇心を持ってくれます。日本人よりも目を輝かせる」
「社長というのは多くの人に影響力を持っています。社員とその家族、製品を売ったり買ったりしている取引先とその家族。おそらく中小企業の社長でも、数万人の人に影響力を持っています」
「『堀場さんの商品を買えて良かったな』『堀場に勤められて良かったな』と思ってもらいたい。逆に、『堀場と関わってひどい目に遭ったな』『あんな会社に勤めて人生何やったんや』ということは、絶対にあってはならない」
「自分一人の問題じゃなく、数万人の人生に影響を与えているからこそ、社長が率先しておもしろおかしく働く。『しんどい』と思ってたら誰も幸せにできません」
「『自分たちの仕事は顧客や社会を幸せにしている』という誇りを社員が持っていなければ、その会社はほんまもんの商品やサービスを生み出せないと思うのです」
「トップがいくら『もっと情報を集めろ』と言ったところで、仕事がつまらないと社員が思っていれば、インターネットでささっと検索するだけです。情報収集欲は社員の内面から生まれてくるものであり、外から力ずくで促しても身につくものでもない」
「僕は若い頃、3日間くらいは平気で徹夜しました。例えばコンデンサーの動作試験をするとき、当時はデータの記録計などないので自分の目で確かめるしかありません」
「社員に財務情報をオープンにする。堀場製作所では、社員に会社の状況を刻々と報告しています。僕を含む役員の報酬もすべて公開している」
「節税対策に明け暮れたり税務署に文句を付けたりするのは、時間の無駄。その時間を技術開発に振り向けたほうが、結果的に手元に残る資金は多くなる。だから、経営者は事業のことだけを考えればいい。それが僕のスタンスです」
【出典】
『おもしろおかしく 人間本位の経営』
【感想・論評・補足】
堀場製作所の社是の「おもしろおかしく」。実は当初は役員が全員反対。社是になるまで7年かかったという
経歴(プロフィール)
■堀場雅夫(ほりば・まさお)
【1924年~2015年】日本の実業家。株式会社堀場製作所の創業者。京都市生まれ