名言・語録・格言

このサイトは人類の叡智の結集である。 知りたい人の名言・語録があれば検索ボックスに人名を入れて下さい。名言・語録は391冊の本や社史、雑誌などから抽出したもので、出典元は最後に記しております。出典元のはっきりしない名言・語録は記載しておりません【302名 2456件の名言・語録を収録(2023年1月27日現在)】

家永三郎

家永三郎 名言・語録1件

(日本思想史)

 

 

「思想自体の発展の認識は思想史学の中枢をなす課題である。思想の論理的解明は第一の基礎作業であるが、単にある個人の思想、又は書物の中に含まれた思想を個別に静的に分析し整理しただけでは思想的認識とはなり得ない。その思想が如何なる思想に由来し、やがて如何なる思想を生み出すに至るか、思想的系列の内に位置づけてはじめてその歴史的地位を理解し得る。その場合、唯同系列の思想の系列の内に位置づけてられるだけでは不十分で、異種の思想の系列との相互の影響関係をも見のがしてはならぬ」

 

 

出典『戦前のラジオ放送と松下幸之助』著者:坂本慎一

 

 

【感想・論評・補足】

日本経済思想史を専門とする坂本慎一は上の家永の言葉を著書『戦前のラジオ放送と松下幸之助』の中で、【家永は『思想的系列』を重視し、ある思想は何の影響を受けたかという『歴史的地位』を明らかにすべきだと主張している。言い換えれば、日本思想史研究において、ある思想がどのような思想から影響を受けたかを明確にすることで、我々はその思想を『認識』したことになるというのである。人物でいえば、ある人物はどのような人物から思想的影響を受けたかを分析することで、我々はその人物の思想をよりいっそう深く理解することができるのである】と解説している。そもそも言葉について考える際、人は基本的に過去に聞いたり読んだりした言葉を元にしか語れないという。この家永の言葉と坂本の解説は、その人物の思想を理解するにはどのように調べていけばいいか、大きな指針を与えてくれているといえよう

 

 

経歴(プロフィール)

家永三郎(いえなが・さぶろう)

1913年~2002年】日本の歴史家(日本思想史)。東京教育大学名誉教授。文学博士(東京大学)。191393日、愛知県名古屋市生まれ